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2015 年度 実施状況報告書

固体水素と不安定原子核ビームの散乱による錫132の陽子・中性子分布の測定

研究課題

研究課題/領域番号 15K05105
研究機関大阪大学

研究代表者

坂口 治隆  大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (30025465)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード不安定核陽子弾性散乱 / 錫132の密度分布 / 炭素14の陽子弾性散乱 / 中間エネルギー陽子弾性散乱 / 陽子密度分布、中性子密度分布
研究実績の概要

Zr90からの陽子弾性散乱弾性散乱を200MeVと300MeVで測定して、散乱の角度分布を相対論的インパルス近似を用いて解析した結果、陽子分布と中性子分布を独立に抽出することに成功した。得られた陽子分布を電子散乱で得られた電荷分布から求めた陽子分布と比較したところ、測定および解析の誤差の範囲内できれいに両者が一致することが判明した。この解析をZr92,Zr94に拡張してまとめる予定である。
炭素14からの陽子弾性散乱については標的が1 ギガ Beq. の放射性物質であるためにセンター内に外部委員を交えた安全審査委員会を立ち上げて、標的の作成およびマウント方法、測定の際の真空膜破断にたいする緊急バルブ動作などの念入りな審査を受けた。その結果、実験を行って良いという判断をもらった。現在炭素14 の素材を注文する直前の状態である。これで平成28年度中に測定を終了できる目安がやっと整った。
理化学研究所ではビームタイムが非常に混んでいる。核子当たり300MeVの錫132からの陽子弾性散乱を効率良く測定するために、長さ7mのレールを4本敷設して、前回の科研費で建設した大型パレット2台に車輪をとりつけて、実験の際のみ測定装置をビームライン上に移動して設置し、散乱を測定し、実験以外の時は待避場所で測定の準備をするという体制を作り上げた。年度末ぎりぎりであったが、どうにかレールシステムを完成させることができ平成28年度4月からの実験に間に合わせることができた。パレット1台の重量は2.3トンにもなるが、人間一人の力で軽く移動させることができ、位置の再現性も100ミクロンより良い精度であることが確認できた。4月からの実験での活躍が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本来はZrシリーズの解析はもっと進んでも良かったのであるが、炭素14の準備やレールシステムの準備に手を取られて少し遅れ気味あるといえる。放射性物質C14を標的とする散乱実験に対して学外の委員を含めた安全審査委員会が実験に対して好意的な結論を出してくれたので、炭素14の弾性散乱がかなり進んだといえる。また不安定核弾性散乱測定装置を移動させるレールシステムについては費用の面で本科研費だけでは無理であった。幸いにも平成27年度は理研側の援助および共同研究者の資金を合わせてどうにか費用を賄うことが可能になった。その意味では非常にうまく進んだといえる。
しかし、全体としてみれば順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

レールシステムは思いの外うまく行った。しかし、成功してみると欲が出て、不安定核陽子散乱実験準備の最大の難関である固体水素標的作製作業を実験装置の待避場所で行い、真空排気系や冷凍機、測定回路系まで動作させた状態でビームライン上に移動し、全ての測定器系をセットできるようにしたいと思い始めた。その実現に向けて来年度からは努力していきたい。
おおむね順調に計画通り進んでいるので、このまま頑張っていきたい。

次年度使用額が生じた理由

錫132の本測定が次の5月に予定されているために頻繁に実験準備のために出張していたが、予算をオーバーしそうになったので年度末である3月の出張旅費は一律に全て日当不支給にした。そのために黒字を残してしまった。

次年度使用額の使用計画

新年度の4月、5月にも頻繁に実験準備で理化学研究所に出張するので問題無く消化出来る見込みである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Effects of repulsive three-body force in 12C-12C scattering at 100A MeV2015

    • 著者名/発表者名
      W.W. Qu, G.L. Zhang, I. Tanihata, H. Sakaguchi et al.
    • 雑誌名

      Physics Letters B

      巻: 751 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1016/j.physletb.2015.10.0108

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Non quenched isoscalar Spin-M1 Excitations in sd-Shell Nuclei2015

    • 著者名/発表者名
      H. Matsubara, A. Tamii, H. Sakaguchi, et al.
    • 雑誌名

      Physical Review Letters

      巻: 115 ページ: 102501(4 pages)

    • DOI

      10.1103/Phys.Rev.Lett.115.102501

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Splitting of ISMGR strength in the light mass nucleus 24Mg due to ground-state deformation2015

    • 著者名/発表者名
      Y.K. Gupta, U. Garg, M. Fujiwara, H. Sakaguchi et al.
    • 雑誌名

      Physics Letters B

      巻: 748 ページ: 343 346

    • DOI

      10.1016/j.physletb.2015.07.021

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Neutron detectors for (p,dN) experiment2016

    • 著者名/発表者名
      P.Y. Chan, L. Yu, S.Terashima, H.J. Ong, H. Sakaguchi et al.
    • 学会等名
      Physical Society of Japan
    • 発表場所
      東北学院大学(仙台)
    • 年月日
      2016-03-21 – 2016-03-21
  • [学会発表] Feasibility of using Glauber model to determine proton distribution radii of neutron rich carbon isotopes via charge changing cross section at 50A MeV2016

    • 著者名/発表者名
      D.T. Tran, I. Tanihata, Ong Hooi Jin, H. Sakaguchi et al.
    • 学会等名
      Physical Society of Japan
    • 発表場所
      東北学院大学(仙台)
    • 年月日
      2016-03-19 – 2016-03-19

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公開日: 2017-01-06  

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