研究課題
本年度は、超新星残骸からの宇宙線逃亡のタイムスケールを複数の超新星残骸を比較することで見積もることを試みた。最もソフトなGeVガンマ線放射を持つ、つまり発見されている中で最も宇宙線逃亡が進んでいると思われる超新星残骸HB21の熱的プラズマを「すざく」衛星のX線データから詳しく調べ、分子雲衝突の過冷却からの緩和時間が非常に短いことを示した。これは、急冷却からの緩和時間が、宇宙線逃亡タイムスケールのストップウォッチとなりうることを示した成果である。また、急冷却の兆候の発見されているすべての超新星残骸についてGeVガンマ線のべきを調べ、緩和時間が長い超新星残骸ほどGeVガンマ線のべきが大きい、つまり逃亡が進んでいることを示した。現在、より定量的に宇宙線逃亡タイムスケールを測定すべく、GeVガンマ線データについても統一的に解析し、それぞれの超新星残骸に残る宇宙線の最大エネルギーを急冷却からの緩和時間と比較しようとしている。すでにGeVガンマ線スペクトルのカットオフは緩和時間が大きくなるにつれ急激に小さくなることを示しており、国際学会での発表も予定されている。このほかに、衝撃波の形状などに影響を与える超新星爆発の非等方性を輝線ドップラー偏移から求める研究、衝撃波と分子雲の相互作用に関する研究、爆発タイプによる加速効率の違いを調べるための中心コンパクト天体の研究、コンパクト天体での加速に関する研究なども行った。それぞれの結果は査読論文や国際・国内学会の発表を行っている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 12件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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