研究課題
10-100TeVガンマ線観測実験として、標高4740mに 1m^2のシンチレーション検出器を15m間隔に計401台配置した EAS を主装置とした実験を想定し、地表水チェレンコフ光検出器装置(WCD)の増設により到来方向決定精度が向上可能かをフルモンテカルロシミュレーションにより評価した。直径 8m 水深1 .9m の円筒型スチール貯水槽底に上側光電面の8φ光電子増倍管(PMT)を2m間隔に13本配置した構造のWCDを、45m間隔に計36台(6x6)配置した。入射ガンマ線の空気シャワーシミュレーションはCORSIKAコードを、検出器シミュレーションはGEANT4コードを用いた。天頂角0、15、30、45度から冪状スペクトルでガンマ線を装置中心から半径200mに降らせた。8φPMTの時間情報は、3光子以上検出した時間を用いた。結果、エネルギー分解能はEASアレイの方が良い結果となったが、例えば天頂角15度入射の10TeV領域ガンマ線に対し、角度分解能はEASのみよりも約1.6倍向上し、0.5度となり、EASにWCD検出器群を連動させることにより方向決定精度が向上する事が分かった(2019年春の日本物理学会にて発表)。又、大学内に直径3m高さ2.5mのコルゲート水槽を設置し、内部に防水シート(水バッグ)を内装し、2ヶ月間水を入れた実証実験では、内部にはボルトの凸や本体の波形があるものの、水漏れ無く実験に使用可能であることが確認できた。又直径1mの簡易水槽にて、8φPMTの信号を計測し、モンテカルロシミュレーションによるパルス波形の再現具合の一致度の確認を行った。検出器シミュレーションに既に入っているパラメータを、実験から得られた結果と比較し、より現実の装置へとシミュレーションに取り入れるための資料が得られた。最適化の余地はあるが、目的達成の可能性が高いことが確認できた。
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35th International Cosmic Ray Conference (Busan, Korea 2017)
巻: 301 ページ: 1-4
https://doi.org/10.22323/1.301.0380