研究課題
応募者が中心となり開発した新しい気体充填型反跳イオン分離装置GARIS-II を用いて、原子番号119番以降の新元素探索が計画されている。本研究では、新元素探索へ向けたGARIS-IIの高度利用技術の開発に取り組んだ。具体的には、(1) ガス冷却型アクチノイド標的照射システムの構築、(2)Double layered rotating wheelと標的個別ID化技術を組合せた効率的な励起関数測定法の確立、(3) 大強度重イオンビーム照射に対する標的の健全性モニターシステムの開発である。超重核の合成は極めて小さな反応断面積に起因して、大強度重イオンビーム照射に耐えうる標的が必要となる。アクチノイド標的に特化したガス冷却型アクチノイド標的照射システムを設計・製作した。円盤上に二枚のセクター型標的を挟み込めるサンドイッチ構造とし、標的の一つにタグをつけることで個別モニタリングが可能となった。焦点面検出器で観測される事象と標的ID情報を関連づけることで、観測事象がどの標的に由来するかを判別する事ができ、多様な標的使用法が可能になった。 開発した標的ID技術を超重核の精密核分光研究において適用し、効率的に研究を行う事ができた。 これまで、標的枠への不要な照射を避けるためフォトインタラプタ-によるビームチョッパーシステムを利用してきたが、放射線ダメージによる劣化の問題が生じていた。放射線ダメージによる影響を回避するため、光ファイバーセンサーを用いたビームチョッパーシステムを新規に導入し、問題を解決した。新素材であるバッキング材を用いた電着法によるアクチノイド標的の開発をおこなった。これら種々の高度利用技術開発により、新元素探索・超重核の化学研究・超重核の精密核分光研究への道を広いた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (4件)
Phys. Rev. Lett.
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