研究課題/領域番号 |
15K05117
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
中川 友進 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 特任技術副主幹 (50513454)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 超強磁場中性子星 / マグネター / パルサー |
研究実績の概要 |
マグネターは量子臨海磁場を超える~1e+14 Gの超強磁場を持つ中性子星である。磁気エネルギーの解放によりX線で輝くと考えられており、定常的にX線を放射し、ときおり間欠泉のように強烈にX線を放射するバーストを起こす。本研究の目的は、日本が誇る「すざく」衛星、MAXI、CALETなどによるX線・γ線の観測に立脚し、真にマグネターが強磁場を持ち、磁気エネルギーの解放によりX線で輝くというモデルを確立することである。 私は、これまでの「すざく」衛星などを用いた研究成果により、「X線定常放射は多数のマイクロバーストで構成」というモデルを提唱している。また、私のモデルから予想されるとおり、X線定常放射の強度揺らぎを表すRMS Variationがポアソン分布から推定される値より有意に大きいことを示した。平成28年度の成果を以下にまとめる。 私のモデルに基づくと、マグネターの自転に伴う光度の変化は、マイクロバーストのサイズ分布の違いによるものである。平成27年度末から平成28年度にかけて、「すざく」衛星のデータを用いて、回転周期の位相の変化に伴うRMS Variationの変化を調べたところ、RMS Variationは回転周期と共に変化することを明らかにした。統計学に基づき計算したRMS Variationが観測とよく一致することを明らかにした。また、研究成果と主要な理論モデルを組み合わせて、物理的な「マイクロバーストモデル」を構築した。これらの研究成果は査読付き学術論文として投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に計画していた、回転周期の位相を分けたRMS Variationの計算を行い、期待した成果を得た。一方で、「ひとみ」衛星(Astro-H衛星)による観測を行う計画であったが、事故により運用が停止したために、観測を行うことが出来なかった。また、「すざく」衛星も運用を停止したため、観測を行うことが出来なかった。 そこで、私の研究成果を統計学や理論モデルに基づき検討した。その結果、統計学から推定されるRMS Variationが観測とよく一致すること、および理論モデルと組み合わせた物理的な「マイクロバーストモデル」を構築することが出来た。また、機械学習の手法を取り入れ、発展的な研究を進めている。 そのため、進捗状況を総合的に考えて、上記のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度までに得られた研究成果を査読付き学術論文として投稿する。平成29年度の研究実施計画では、「ひとみ」衛星(Astro-H衛星)や「すざく」衛星で新たに観測したデータを用いた研究を行う計画であったが、両者とも運用が停止したため、新たな観測データは取得できなかった。 そこで、平成28年度までに得られた研究成果に基づき、機械学習の手法を取り入れた発展的研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加する予定だった国際会議が開催されなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の発表のため、研究代表者の国内出張(2件)に使用する予定である。
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