マグネターは量子臨海磁場を超える~1e+14 Gの超強磁場を持つ中性子星である。磁気エネルギーの解放によりX線で輝くと考えられており、定常的にX線を放射し、ときおり間欠泉のように強烈にX線を放射するバーストを起こす。本研究の目的は、日本が誇る「すざく」衛星、MAXIなどによるX線・γ線の観測に立脚し、真にマグネターが強磁場を持ち、磁気エネルギーの解放によりX線で輝くというモデルを確立することである。 私は、これまでの「すざく」衛星などを用いた研究成果により、「X線定常放射は多数のマイクロバーストで構成される」と提唱している。平成27年度は、この考えから予想されるとおり、X線定常放射の強度揺らぎを表すRMS変動がポアソン分布から推定される値より有意に大きいことを示した。また、この考えに基づくと、マグネターの自転に伴う光度の変化は、マイクロバーストのサイズ分布の違いによるものである。平成27年度末から平成28年度にかけて、「すざく」衛星のアーカイブデータを用いて、回転周期の位相の変化に伴うRMS変動の変化を調べたところ、RMS変動は回転周期と共に変化することを明らかにした。平成28年度後半から平成29年度は、数学的なモデルでRMS変動を説明できる事を示した。さらに、研究成果と主要な理論モデルを比較して、バーストと定常放射の両方を説明する物理モデルである「マイクロバーストモデル」を構築した。平成29年度は、主要な研究成果を査読付き学術論文として出版した。
|