研究課題/領域番号 |
15K05126
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
水谷 五郎 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (30183958)
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研究分担者 |
KHUAT Hien 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (30729190) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光第二高調波発生(SHG) / ステップ / 酸化チタン(TiO2) / Au |
研究実績の概要 |
光触媒Au/TiO_2(320)において、TiO_2(320)表面上の原子レベルステップに注目しその部分に吸着しているAu原子を1つの集団とすれば、界面における繊維状薄膜と考えることができる。平成29年度はこの複合系についてSHG応答の試料回転角依存性を測定することに成功したが、平成30年度はその界面の断面透過電子顕微鏡(TEM)像の観察、および波長可変のSHG応答の測定を行なった。 断面TEM試料観察のために、新たなAu/TiO_2(320)を製作し、その断面試料を薄くカットし、イオンミリングで薄く削っていくことにより作った。TiO2_2(320)基板はAu蒸着前にHF処理と空気中アニール処理を交互に施して作ったが、それによる表面ステップバンチングは起こっていないことが確認できた。したがって界面は規則的ステップが支配的である。次に2nmの平均膜厚で製作したAuの膜厚の揺らぎは大きくなく、TiO2表面はAuで全て覆われていることが確認できた。 しかし今回、Au/TiO2界面における原子の並びがどのようになっているかなどが見極めることができるような質の良い画像は得られなかった。 Au/TiO_2(320)試料のSHG強度を入射光子エネルギーの関数として計測した。SHG光の測定配置は、入射面が[2-30]方向を含んでS偏光入射S偏光出射のステップからのシグナルが支配的な配置と、同じ入射面でP偏光入射P偏光出射のテラスからのシグナルが支配的な配置である。計測は二光子エネルギーにして、3eVから5.3eVまで行なった。その結果、前者の配置では5eV付近にピークを持つスペクトルが、後者の配置ではほぼ一定の強度を持つスペクトルが得られた。今後、観測されたピークがどのような電子エネルギー状態を起源とするのかを、詳しく解析し、また追加の実験をしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Au/TiOs(320)界面のステップに沿った繊維状のAu/TiO2界面の非線形応答については、非常によい結果が得られた。今後再現性を確かめる実験を行い、この話題について出版論文が書けるような確実な成果を確保したい。本来の繊維状のナノワイヤ列を重ね合わせる実験は真空装置のトラブルの復旧を急いでいる。
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今後の研究の推進方策 |
真空装置の修理などを急ぎ、本来の計画どおりに成果が得られるように努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
真空槽にトラブルが起き、計画が遅延したため、次年度に使用額が生じた。次年度は膜の作成および、光触媒Au/TiO2(320)のTiO2表面ステップ上に並んだ金原子ワイヤーの非線形光学的性質を探る。
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