本研究では、高易動度を示す有機半導体においてバンド伝導性を裏付けることを目的とし、光注入した自由キャリアの伝導物性を無機半導体と対比的に研究した。ルブレン結晶での光キャリア注入機構を、励起子発光と光キャリアの反相関に基づき、電場印加による励起子解離と正孔伝導によると同定した。一方無機IV族半導体では、励起子とバンド間遷移による二つの光キャリア生成ルートを見いだした。ルブレン結晶で二光子励起法により注入した光キャリアについてサイクロトロン共鳴測定を実施し、2.5 Kで有効質量0.23 m0を示すスペクトルを得た。しかし、不可解な温度依存性や角度依存性を示したため、有効質量の断定には至らなかった。
|