研究課題
弱いトポロジカル絶縁体(WTI)表面のディラック電子系におけるランダウ量子化について考察した.強磁場領域において二つのバレーの存在を反映する特異な振る舞いが生じることを明らかにし,論文として発表した.また,原子ステップ構造があるWTI表面における電気伝導特性を数値シミュレーションによって検討し,ある条件を満たすステップ構造のもとで擬完全伝導チャネルが発現することを明らかにした.擬完全伝導チャネルを導入することによって系の電気伝導性を大幅に向上させることができる.この成果も論文として発表した.さらに関連する問題として二つの課題に取り組み,その成果を二編の論文として出版した.一つ目はワイル半金属における異常電気磁気応答である.この問題に関しては連続極限のディラック模型に基づいた解析結果と格子模型に基づいた解析結果が互いに矛盾することが知られていたが,その原因を解明し正しい記述を与える処方箋を与えた.また,グラフェンナノリボン系における完全伝導チャネルに対する位相緩和の影響を数値シミュレーションによって検討し,位相緩和が完全伝導チャネルを安定化させることを見出した.
1: 当初の計画以上に進展している
弱いトポロジカル絶縁体表面のディラック電子系に関して,ランダウ準位の振る舞いに関する論文を予定通り発表しただけでなく,次年度に予定していた原子ステップ構造がある場合の電気伝導特性についても成果を挙げ論文を出版した.
29年度に予定していた,乱れを含む二次元ディラック電子系における電気伝導度のスケーリング解析を前倒しして実行する.余裕があれば,ワイル半金属におけるメゾスコピック効果(特に電気伝導に対する電極の影響)について検討する.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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