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2019 年度 実績報告書

トポロジカル量子相とその階層構造,不純物に対する頑強性の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K05131
研究機関広島大学

研究代表者

井村 健一郎  広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (90391870)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2020-03-31
キーワードトポロジカル絶縁体 / 非エルミート系 / バルクエッジ対応 / 非エルミート表皮効果
研究実績の概要

ここ1-2年、トポロジカル絶縁体の非エルミート版が盛んに研究されている。非エルミートな量子系が境界条件に敏感なことは以前からよく知られている。同じことは、トポロジカルな系にも当てはまるが、意味合いが大きく異なる。トポロジカルな系においては、通常周期境界条件の下で定義されるトポロジカル数によって、開境界(open boundary)条件の下でエッジ状態が現れるか、否かが決まる(バルクエッジ対応)。開境界条件下で、非エルミート系の波動関数は指数関数的な空間変調を示す(非エルミート表皮効果)。これは非エルミート系に特徴的な現象だが、境界条件を周期的にするとこの性質は壊れてしまう。その結果、非エルミートなトポロジカル系において、先験的にはバルクエッジ対応がうまくいかない。
我々は非エルミート・トポロジカル系のバルクエッジ対応を議論するには、修正された周期境界条件を使うのが良いことを提案した。この境界条件を使うと、エルミートな系で確立された笠-初貝流のバルクエッジ対応が、非エルミートな系にもほぼそのままの形で適応できる。ひとつ違うのは、システムを規定するパラメーター空間の次元が1つ大きくなること。最初に、非エルミートな系が境界条件に敏感なことを指摘したが、より正確に言えば、非エルミート量子系は「境界条件を指定して」初めて規定される。我々の提案する修正された周期境界条件は、非エルミート表皮効果を境界条件に取り込むための実パラメーターbを定義の中に含んでいる。そこで、非エルミート・トポロジカル系のバルクエッジ対応は、bを含んだ一般化されたモデル・パラメーターの空間で笠-初貝の議論を展開することになる。その意味で、非エルミート・トポロジカル系におけるバルクエッジ対応は一般化されている。本定式化により、トポロジカル絶縁体の概念が自然な形で、非エルミート系に拡張された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Victoria University of Wellington(ニュージーランド)

    • 国名
      ニュージーランド
    • 外国機関名
      Victoria University of Wellington
  • [国際共同研究] Centre de Physique Theorique(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Centre de Physique Theorique
  • [雑誌論文] Generalized bulk-edge correspondence for non-Hermitian topological systems2019

    • 著者名/発表者名
      K.-I. Imura, Y. Takane
    • 雑誌名

      Phys. Rev. B

      巻: 100 ページ: 165430, 1-8

    • DOI

      https://doi.org/10.1103/PhysRevB.100.165430

    • 査読あり
  • [学会発表] Bloch band theory for non-Hermitian bulk-edge correspondence2020

    • 著者名/発表者名
      Ken-Ichiro Imura
    • 学会等名
      BE/BC2020F (Bulk-Edge/Boundary Correspondence)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Generalized bulk-edge correspondence for non-Hermitian topological systems2019

    • 著者名/発表者名
      Ken-Ichiro Imura
    • 学会等名
      IIS-Chiba Workshop NH2019TD
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Generalized bulk-edge correspondence for non-Hermitian topological systems2019

    • 著者名/発表者名
      Ken-Ichiro Imura
    • 学会等名
      IIS-Chiba Workshop NH2019
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Generalized bulk-edge correspondence for non-hermitian topological systems2019

    • 著者名/発表者名
      Ken-Ichiro Imura, Yositake Takane
    • 学会等名
      NTTI 2019 and BEC 2019
    • 国際学会
  • [備考] Ken Imura's web site

    • URL

      https://home.hiroshima-u.ac.jp/imura/

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公開日: 2021-01-27  

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