研究課題
本研究課題は、熱測定により高磁場下で起こる磁場誘起相の探索が目的であった。パルス磁場下で作動する熱測定技術を確立させ、これを用いて60テスラに至る強磁場領域での研究を進展させた。2016および2017年度は、パルス磁場下で作動する熱測定手法の確立を中心的な課題とし、これを達成した。ここでは、パルス磁場下で磁場が変化しない”超安定化磁場”と”3Heクライオスタット”の開発した。特に超安定化磁場の開発については、100ppm程度という、非常に高い磁場の時間安定度を達成できた。これは世界で最も高い磁場安定度を持つパルス磁場となり、RSI誌に発表できた。この安定化磁場の利用より、比熱測定の測定精度を格段に向上でき、さらには熱伝導や核磁気共鳴のパルス磁場下測定という、新たな萌芽的研究も始まってきた。また3Heクライオスタットの開発は、700mKという低温領域までパルス強磁場下での比熱測定を可能とさせ、適応できるサンプルの幅を大きく広げることができた。超安定化磁場および3Heクライオスタットなどの開発の後、2017年度後半、および2018年度になり本申請課題は大きく進展した。物理の課題として複数の研究が完了しており、例えば磁性体の磁気熱量効果という課題では2つの論文がPRBおよびPRL誌に発表もしくはアクセプトされた。他にも3つの重い電子系化合物、1つの量子磁性体化合物の熱測定についての結果は、現在論文投稿中であり、これらは近年中に何らかの形で発表されると思われる。他にも論文調整中の課題もいくつかあり、3年間に渡る本課題に関連する最終的な研究実績は、10~20報程度になると思われる。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Phys Rev Lett.
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