研究成果の概要 |
スピン3/2反強磁性交替鎖物質RCrGeO5 (R = Ho, Er, Nd)とNdCrTiO5の磁化と中性子散乱を測定し、磁性を調べた。過去に知られていたR = Y, Smの場合も含めて、全ての物質で、基底状態はボンド交替が強いダイマー状態であった。基底状態がボンド交替が弱いダイマー状態である物質は見つからなかった。 反強磁性スピン・クラスター物質も研究した。CuInVO5の磁気モーメントが小さいこと、FeVMoO7では、スピン5/2なのに量子ゆらぎが存在すること、Rb2Ni2Mo3O12のゼロ磁場での磁気秩序は、量子臨界点近傍の秩序のような、あまり安定ではない秩序だということが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
RCrGeO5 (R = Y, Sm, Ho, Er, Nd)とNdCrTiO5の研究の結果、2つのCrスピン間に働く交換相互作用の大きさがCr-Cr距離にとても強く依存することが分かった。Cr-Cr距離が少しでも長くなると、交換相互作用が急激に小さくなるため、これらの物質の2種類の交換相互作用の大きさが大きく異なり、ボンド交替が弱いダイマー基底状態が実現できなかった。 量子臨界点近傍の秩序は通常、圧力や磁場を加えて初めて現れる。Rb2Ni2Mo3O12では、大気圧下のゼロ磁場でも、量子臨界点近傍の秩序が可能なことが分かった。
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