現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では以下のようにディラック電子系におけるパラドックス的異常物性が電子相関効果に起因することを明らかにしてきた。(I)NMRにより観測される磁化率の抑制は、長距離クーロン相互作用による異方的速度繰り込みが引き起こすディラックコーンの先鋭化(砂時計型)に起因することを示した【Nat. Commun.7, 12666 (2016)】【J. Phys. Soc. Jpn. 86, 014705 (2017)】【J. Phys. Soc. Jpn. 87, 054706 (2018)】。(Ⅱ)低温における1/T1Tの反転は、バレー間エキシトニック揺らぎの発達によることを初めて示した【Sience 358, 1403-1406 (2017)】【Phys. Rev. Research 2, 033479 (2020)】【Rep. Prog. Phys. 84 036502 (2021)】。(Ⅲ)有機導体の電荷秩序相における有限質量ディラック電子相において、光学ギャップと伝導ギャップが大きく異なることを具体的に示し、光学伝導率と直流伝導率の実験結果を矛盾なく説明できることを示した【J. Phys. Soc. Jpn.85, 094710 (2016) 】【J. Phys. Soc. Jpn. 86, 074708 (2017)】【J. Phys. Soc. Jpn. 87, 054703 (2018)】。(Ⅳ)ディラック-電荷秩序相転移近傍における光学伝導率に現れる特徴的なエネルギーの階層構造を予想た【Crystals 2018, 8(3), 137】。(Ⅴ)有機ディラック電子系で観測される異常なゼーベック係数などの熱輸送現象を解明した、【Phys. Rev. B 101, 245201 (2020)】(Ⅶ)単一成分分子性導体におけるディラックノーダルラインを記述する強束縛模型の導出した。【J. Phys. Soc. Jpn. 89, 074704 (2020)】これらの成果により。本研究は当初の計画以上に進展している。
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