研究課題
ダイヤモンドなどの絶縁体の結晶は、通常であれば電気を通さないが、何らかの方法で電流を運ぶキャリヤを結晶中に導入できれば導体に変えることができる。従来は、キャリヤを生み出す不純物を結晶にドープする方法がキャリヤを導入する代表的な手法であったが、近年イオン液体などを用いた電気2重層の方法により絶縁体表面に強力な電場をかけ、キャリヤを電気的に誘導し結晶表面を金属化することが可能になり注目を集めている。掛ける電場を十分強くすれば、それだけキャリヤ数が増大するが、特にSrTiO3やZrNClなどの系では超伝導を発現(電場誘起超伝導)させる事も可能となっており大変興味深い。そこで本研究では、結晶表面に強力な電場を掛けたときキャリヤはどうのように誘導されるのか、また超伝導はどのような条件の場合に発現しうるのかを第一原理計算手法を用いて、現実の系に即したモデルに基づいて探ることを目的として研究を進めた。その結果、現実的な実験条件(表面で電場の強さを1V/Åと設定)においてダイヤモンド表面には10オングストローム程度の厚みでキャリヤが集積し、その部分が金属化しているものとみなされることがわかった。またその金属化した部分は1K程度の転移温度を持つ超伝導状態が実現しているであろうという結果が得られた。現状ではダイヤモンド系でまだこのような電場誘起超伝導が見つかったという報告はまだなされていないが、将来的には見つかることが期待される。またタングステンブロンズ(WO3系)の表面における高温超伝導の研究やFe/MgOの界面系を念頭に、そこに電場が掛かった時の電子状態や磁性の研究も行った。これらの結果は学会発表や論文等で発表を行った。
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Journal of Electronic Materials
巻: 48 ページ: 1319-1323
https://doi.org/10.1007/s11664-018-6808-2
巻: 48 ページ: 1380-1385
https://doi.org/10.1007/s11664-018-6779-3