研究課題
反強磁性近藤半導体CeRu2Al10は,2009年Strydomらによる発見後,様々な奇妙な性質が明らかにされ,現在でも盛んに研究されている。この系の大きな特徴としてスピンギャップ,電荷ギャップがある。また少量のRhドープで遍歴性が失われ局在系に近づくことがわかっている。Rhドープで両ギャップがどのようになるのかを明らかにするため,低温比熱,光学伝導度を調べた結果,両ギャップが消失することが明らかになった。このときTNの減少は小さく,高いTNに両ギャップの存在は必要でないことが明らかになった。価数揺動系CeFe2Al10に少量のRhをドープすると急速に局在系に変わることを明らかにした。参照系としてHoR2Al10 (R=Fe, Ru)を調べた。基底状態は一重項であるが,近いところに励起状態が存在するため,磁気秩序を起こし得る。R=Feでは一重項基底状態であるが,小さい磁場で磁気秩序が誘起されることを明らかにした。R=Ruの磁気相図は高磁場で奇妙なふるまいを示す。これらの結果を分子場計算で再現することに成功した。低次元系における量子スピンゆらぎの効果を明らかにするため,三角格子半強磁性体CsCuCl3の圧力効果を比較の意味で調べた。加圧により,常圧では存在しなかった1/3プラトーが出現することを発見した。加圧により交換相互作用と面内磁気異方性ともに増大するが,相対的に前者の増大が後者の増大に勝る結果と結論した。
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