研究課題
Yb系近藤格子の基底状態は,cf混成が小さい場合はRKKY相互作用により磁気秩序を示し,大きい場合は近藤効果により非磁性フェルミ液体となる.YbNi3X9(X=Al,Ga)は,同じ結晶構造,類似の伝導電子状態をもつにも関わらず,YbNi3Al9は前者,YbNi3Ga9は後者に属する.我々は硬X線光電子分光(励起エネルギー6 keV),低エネルギー光電子分光(励起エネルギー7 eV)により,Yb 4f電子状態と伝導電子状態密度(c-DOS)を明らかにし,c-DOS中のフェルミ準位(EF)とYb 4fホール準位の位置関係から,基底状態を説明する電子状態モデルを考案した.本研究では,物質系を拡張し,考案したモデルの普遍性の検討を行った.本年度は,YbPd2X'2(X'=Si,Ge)の単結晶育成を行い,硬X線光電子分光を実施した.YbPd2X'2はともに非磁性だが,YbPd2Si2は~1 GPaで反強磁性秩序を示す.このことは,YbPd2Si2がYbPd2Ge2よりRKKY優勢領域に近い事を示している.Yb 3d硬X線光電子分光からYb価数を見積もったところ,YbPd2Ge2では温度によらずv~2.69,YbPd2Si2では300 Kでv~2.84で,降温とともに2価に近づく傾向を示した.また,X'=Siで,Pd 3d内殻ピーク,Yb3+ 4fピークともに,高結合エネルギー側にシフトした.期間を通じて,電子状態を調べたYb2Pt6X15(X=Al,Ga),YbNi2X'2については,YbNi3X9と同様な振る舞いが観測された.X(Al,Ga),X'(Si,Ge)の違いによらず,考案したモデルが成立している事が分かったが,Pdを含む系はYb3+ 4fピークの傾向が他と逆になっており,このことが4d系(Pd)の特徴かどうかは今後研究をすすめていく必要がある.
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