研究課題
基盤研究(C)
反強磁性近藤半導体CeRu2Al10における27Kという非常に高い転移温度の起源を解明するため、主に含有量の高いAl原子をSiやZnなどで置換し、伝導電子濃度と反強磁性秩序との相関を調べた。Si置換からZn置換へと電子濃度が減少するにしたがって、近藤効果が増強される一方、転移温度や混成ギャップの大きさは置換していないCeRu2Al10で最大であった。置換する元素によらず、平均電子濃度で物性変化をよく説明できることから、Ru4d電子とAl3p電子が混成した複雑な伝導バンドを形成しており、CeRu2Al10に特徴的なc-f交換相互作用の強い異方性を生み出していることを指摘した。
磁性物理学