研究課題/領域番号 |
15K05181
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
西川 裕規 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (60373239)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 量子不純物系 / 量子臨界点 / 近藤効果 / Lieb磁性 / 長岡強磁性 |
研究実績の概要 |
研究実施計画では1.局所的反強磁性秩序相と近藤効果の競合、2.局所的電荷秩序相と近藤効果の競合、3.オーバースクリーニング相とフェルミ液体相の競合、4.4重量子ドットの長岡強磁性相と近藤効果の競合、5.4重量子ドットのLiebフェリ磁性相と近藤効果の競合 を主な研究対象としたが、当該年度には主に1、4、5および「1と3の関係」に関する研究を実施した。 また本研究目的に関連して新たな議論について研究した。具体的内容は以下の通りである。 1に関しては、まず局所的反強磁性秩序相と近藤効果の競合による量子臨界点近傍の振舞を調べるために2重量子ドット間に電子の移行を導入した場合の有効模型の型を決定した。さらにそのパラメータの計算方法の仕方を考察し、2通りの方法が考案した。これらの結果は、続く具体的研究のために必要である。「1と3の関係」に関しては、1と3の2つの量子臨界点の関連を研究した。現在、論文執筆中に向けて研究結果を蓄積している。4と5に関しては、長岡強磁性相とLiebフェリ磁性相を発現しうる4重量子ドットの模型を設定し、それらのハミルトニアンの行列要素をモデルパラメータの関数として陽に計算した。またその結果に基づいて長岡強磁性相とLiebフェリ磁性相が出現するモデルパラメータ領域を具体的に求めた。これらの結果は、これから続く研究での、これら磁性相と近藤効果の競合効果のためにも、またその研究結果を考察するためにも必要な結果である。本研究目的と関連する議論として、非対称2重量子ドット系において低温でより対称性の高いSU(4)対称性が出現するという理論的予想が他からなされたが、それについて本研究手法で検証しその結果を論文(arXiv:1603.05577)にまとめ投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画の実行順序は一部変更したが、続く研究に必要なフォーマリズム等を含む基礎的な準備を遂行した。また研究計画後に新たに発生した本研究目的に関連した議論に関する研究を遂行し論文としてまとめたのでそれを投稿中である。以上に述べた理由から、進捗状況を上記区分のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度には本研究の、フォーマリズム等を含む基礎的な準備を進めたので、今後はその結果を基礎にして当初研究実施計画に書いた研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、当初研究実施計画に書かれていた研究順序を一部変更し、研究全般にわたフォーマリズム等の基礎的研究を集中して遂行した。したがって、当初購入予定であった具体的数値計算に必要なワークステーションの購入を当該年度に見送ったため、それが主な理由で次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
生じた次年度使用額と本年度分として請求した助成金の一部とあわせて、具体的数値計算に必要なワークステーションの購入とそれに必要な周辺ソフト(計画段階の価格から格段に価格が上昇した)の購入に使用する計画である。助成金のその他部分は当初計画通り使用する予定である。
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