走査トンネル顕微鏡(STM)は、物質の表面を原子分解能を持って測定できるが、超伝導や電荷密度波の分域構造のような秩序状態を制御することができる静水圧下での測定は不可能である。本研究では、圧電素子を用いて一軸性の応力下での遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)のような2次元物質のSTMによる観察が可能な装置の試作および観察を試みた。 試作した装置を用いて、室温から液体ヘリウム温度の間で、応力印加の下で、原子分解能を有する観察を行うことができたが、変位が小さいため、TMDCの分域構造を変化させるまでには至らなかった。しかしながらこの研究でTMDCの分域構造に関する多くの知見を得ることができた。
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