まずKPZ系に対して開発した新手法は、従来の手法にあった発散の問題が回避されており多くのモデル系に対して統一的に適用することが可能であり、近年進展が著しい可積分確率と呼ばれる分野における重要な貢献である。また多成分系に対する手法の一般化と普遍揺らぎを決定したことは、可積分非平衡系の手法の適用範囲を大いに広げ今後の発展性が高いものであるとともに、揺らぐ流体力学と呼ばれる有効理論の予言をミクロな計算から検証する最初の例も与えるものであった。さらに、量子スピン系に対するカレント揺らぎの決定とランダム行列理論との関係の発見は、新奇性が高く今後様々な方向への拡張、応用が期待される。
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