研究課題
引き続き改良された動的スケーリング法の検証と応用を行った。前年からの継続で、三角格子反強磁性ハイゼンベルグ模型の解析を試みた。低温で存在が指摘されてきたトポロジカル相転移をKT転移と同様に解析して矛盾が無い事を示し、転移温度の値を従来の評価を修正する高精度に評価し、さらに静的・動的臨界指数の評価から、XY系とは異なる普遍性の可能性を指摘した。前年に得られた上記結果を受け、低温相内での臨界指数の評価を行った。低温相全体における臨界状態の様子は、他の2次元KT転移系と同様の振る舞いを示すことが明らかになり、低温におけるKT相の存在を強く示唆する結果を得た。また、一様磁場中の振る舞いも解析をした。この系は、複雑な相図と転移が現れることが従来より指摘されている。各相、相転移における非平衡緩和の初期状態と秩序変数を検討し、相図や臨界指数の決定が可能な環境を構築した。特に、高磁場における相転移が3回対称性の破れを伴う2次相転移と回転対称性の破れを伴う2次相転移の結合したものであるという新しい描像の発見がなされた。これは、2次元系におけるMermin-Wagnerの定理の性質に従っていない(この系には定理は適用出来ない)稀有な例である。補正項を導入した動的スケーリング解析の有効性のKT転移解析への拡張を引き続き模索した。有効性を確認するために、KT転移における厳密な転移温度の情報を持つ系の候補が見つかり、その系の解析も行なっている。
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PHYSICAL REVIEW E
巻: 99 ページ: 012116
10.1103/PhysRevE.99.012116
Activity Report 2017, ISS
巻: 1 ページ: 227