研究実績の概要 |
一次元の対称性に護られた(Symmetry-Protected Topological phases--SPT phases)におけるダイナミクスを調べた。具体的には、異なるSPT相をまたぐように相互作用を変化(スイープ)させ、それに伴う端状態、非局所相関、エンタングルメント・スペクトラムなどの変化を調べ、これがスイープで励起される準粒子と密接に関係していることを突き止めた(Ohta-Tanaka-Danshita-Totsuka, Phys. Rev. B 93, 165423 (2016))。さらにこれに関連して、SPT相と周期的外場との競合についても調べた(Ohta-Totsuka, J. Phys. Soc. Jpn., 85, 074003 (2016))。前年度から継続中のテーマである、一次元の光格子中のSU(N)対称性を持つアルカリ土類フェルミ原子気体を用いたSPT相の実現について、フランスの研究者と共同で、二連井戸型の光格子を用いた新たなSPT相の実現方法を提案した(Fromholtz et al. 準備中)。また、関連するSU(N)系のトポロジカル相をメインテーマとして、7月に京大基研にて二週間の国際ワークショップを開催した(http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~sun2016/)。局所的な秩序変数の定義できないトポロジカル相の非局所的なプローブとしてエンタングルメントエントロピーがあるが、たとえば二次元の非自明なエンタングルメントエントロピーがどのようにして一次元から創発されるか、などはよくわかっていない。今村と戸塚は、これを理解する第一歩として、結合させた一次元系にどのようにゲージ自由度が創発されるかを明らかにした(Imamura-Totsuka, arXiv: 1605.09235)。
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