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2017 年度 実績報告書

液体の動的構造因子と横波の関係~古典および第一原理分子動力学法

研究課題

研究課題/領域番号 15K05214
研究機関広島大学

研究代表者

宗尻 修治  広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (90353119)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード液体 / 横波
研究実績の概要

高校物理では横波は固体中のみを伝わり気体や液体中では伝わらないことを学ぶ。しかし2009年、液体の動的構造因子に横波の存在を示唆するピークが実験で観測された。液体ガリウム、銅、鉄、スズなど1種類の原子から構成される比較的単純な液体においても動的構造因子に2つ以上の振動ピークが含まれていることがX線非弾性散乱実験により示されている。ひとつは通常の縦波音波であり、もうひとつは、より低振動数の縦波振動である(これをTモードと呼ぶことにする)。このTモードは液体中の横波の振動の様子を間接的に表していると考えられているが、Tモードの出現機構は明らかになっていない。本研究の目的は、このピークが、どのような原子の運動によって現れるかを明らかにすることである。成果は以下のとおりである。
液体中の二つの原子に着目し、互いが横方向に振動するとき、それが縦方向の振動にどう影響するかを分析する方法を開発し、その方法を古典および第一原理分子動力学によって求めた液体銅やカルシウムの時系列データに適用した。その結果、注目している二つの原子A,Bの間の縦方向の振動数は、A,Bの近傍に別の原子Cが存在するときは、そうでない場合に比べて小さくなり、横方向の振動数に近づくことが分かった。つまり、横波の振動の情報が縦波として観測される可能性をミクロに示すことに成功した。Tモードと横波の関係を調べる際の問題点のひとつは、動的構造因子の中のT-modeを明確に特定することが困難であることである。そこで液体に比べてTモードが明確に現れる多結晶を対象にして分子動力学を行い横波の情報が縦波として現れる可能性を調べた。その結果、Tモードの振動数は、横波の振動数とは必ずしも一致せず、それらの中間の値を取る場合があることがわかった。つまり、多結晶では横波の振動数とTモードは一対一に対応しているわけではないことを明らかにした。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 液体中の縦波と横波のMixing~多結晶との比較2018

    • 著者名/発表者名
      宗尻修治
    • 学会等名
      日本物理学会第73回年次大会
  • [学会発表] 水‐メタノール混合系の音速~波数及び 温度依存性~2017

    • 著者名/発表者名
      山崎真史,佐久間翔太,宗尻修治
    • 学会等名
      第31回分子シミュレーション討論会
  • [学会発表] GPUを用いた動的構造因子計算プログラムの開発2017

    • 著者名/発表者名
      佐久間翔太,山崎真史,宗尻修治
    • 学会等名
      第31回分子シミュレーション討論会
  • [学会発表] GPUを用いた動的構造因子計算の高速化2017

    • 著者名/発表者名
      佐久間翔太,山崎真史,宗尻修治
    • 学会等名
      日本コンピュータ化学会2017秋季年会
  • [学会発表] 水ーメタノール混合系における音速の波数依存性2017

    • 著者名/発表者名
      山崎真史,佐久間翔太,宗尻修治
    • 学会等名
      日本コンピュータ化学会2017秋季年会
  • [学会発表] 溶液の動的構造因子計算の高速化~分子動力学法~2017

    • 著者名/発表者名
      佐久間翔太,山崎真史,宗尻修治
    • 学会等名
      第40回溶液化学シンポジウム
  • [学会発表] 分子動力学シミュレーションによる水-メタノール混合系の音速2017

    • 著者名/発表者名
      山崎真史,佐久間翔太,宗尻修治
    • 学会等名
      第40回溶液化学シンポジウム
  • [学会発表] Concentration dependence of sound velocity in water and methanol mixtures using molecular-dynamics simulations2017

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Yamasaki, Sakuma Shota and Shuji Munejiri
    • 学会等名
      The 11th Triennial Congress of the World Association of Theoretical and Computational Chemists
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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