スペクトル帯ごとに非対称な流れの方向性のある「新規な量子流束」をもつ拡張型クローニヒ=ペニー・モデルを考案しその性質の探求を行った。これは二本の平行直線が周期的に配置された線分によって連結されたもので、接点部における相互作用を二本の直線で異なる強度のデルタ型に選ぶことで実現される。さらにこの数理的単純化として、一列に無限に並んだ二重鎖からなるクローニヒ=ペニー型のモデルが得られることを示し、鎖節点の性質をデルタ型ならびにデルタプライム型に適宜に選ぶことで、帯ごとに異なった非対称量子流束を持つ帯スペクトル群をもつことを示した。これらモデルの有用な単電子デバイスへの応用可能性について考察した。
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