有機導体などで見られる2次元ディラック粒子系では、多くの場合傾いたディラック・コーンが観測され、通常のカイラル対称性が破れている。このため、傾いたディラック電子系一般の特徴付けは自明ではなかったが、我々は、傾いたディラック・コーンが「一般化されたカイラル対称性」によって特徴付けられること、また、こうした対称性が格子模型レベルで厳密に定義できることを示した。これにより、フェルミオン・ダブリング(フェルミオンが同じエネルギーに偶数個縮退して現れること)の問題などが議論できるようになり、傾いたディラック粒子系一般に対して、新たな概念、視点を提供することができた。
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