研究課題/領域番号 |
15K05221
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
柳田 達雄 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (80242262)
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研究分担者 |
青柳 富誌生 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90252486)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 非線形数理学 / ネットワーク型力学系 / 振動子集団 / カオス / 同期 |
研究実績の概要 |
自然界には動的素子が非一様に相互作用して外乱や環境変化に抗して安定に機能するシステムが多く存在する.例えば,細胞内における生化学反応や遺伝子発現では多数の機能分子が関与していながら安定なダイナミクスが創出されている.また,神経網では結合構造を自己組織的に形成して安定な情報処理を行っている.本研究の目的は,1)機能実現するネットワーク力学系の設計(振動子網など)を通して得られる結合構造の変化から自己組織ルールを抽出するアルゴリズムの開発.2)神経網,遺伝子発現網、代謝反応網などの機能性ダイナミクス創生の自己組織機構の解明である.さらに,これらの数理的知見を活かし,交通網・流通網などの社会システムの機能効率向上へ発展させる. これらの目的のため,マルコフ連鎖モンテカルロ法により所与された機能をもつネットワーク型力学系の設計を行った.同期特性の優れた位相振動子の結合ネットワークの設計手法を拡張して,所与されたフーリエ成分をもつ時系列を生成するネットワーク型力学系を設計し,国際研究会などで研究成果を発表した. 結合網と同時に振動子間の相互作用の位相差も設計することにより,周期的な時系列のみならず,非周期的な時系列を生成するネットワーク型力学系を設計できた.この相互作用の位相差は,結合・非結合を表現する離散的なネットワーク網とことなり,実変数であるためスタガート・ステップ法を用いて対応した.この実変数設計する方法は,本研究課題である自律形成するネットワークダイナミクスを設計する際に重要なスッテップとなり,これらの手法を発展させて結合ネットワークの自己組織化ルールを抽出するアルゴリズムを開発を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一ステップとして,振動子集団の結合ネットワークを所与された機能を実現するように設計した.振動子間相互作用として結合・非結合の離散状態を設計の対象とした従来の方法を拡張して,振動子結合間に連続変数である位相差を持つ場合にスタガート・ステップ法を用いて機能的ネットワークを設計した.これにより,同期特性の優れたネットワーク網のみならず,カオス的に振動するネットワーク型力学系の設計が可能になり,従来よりも幅広い力学モデルの設計が可能になった.この手法を更に進展させれば,自律形成するネットワーク網のダイナミクスを抽出が可能となり,本研究課題は概ね順調に進展していると考える.より具体的には,自律的に機能実現するような結合網の時間発展方程式を設計するアルゴリズムとして,力学素子の状態変数で級数展開したネットワークの発展方程式を考え,その展開係数をこれまで用いてきたパラレル・テンパリング法により求める方法を用いる.
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今後の研究の推進方策 |
所与された機能を有するネットワーク力学系のマルコフ連鎖モンテカルロ法のアルゴリズムを開発し,機能実現する「静的な」結合ネットワークの設計手法およびネットワーク構造を明らかにしてきた.これを発展させ,このような機能を創生する結合ネットワークに自己組織するダイナミクスを探求する. マルコフ連鎖モンテカルロ法による結合ネットワークの機能的設計を拡張して,ネットワークが自律形成するダイナミクスを抽出するアルゴリズムの開発を進める.本年度の研究で,連続変数の設計に有効性が示されたスタガート・ステップ法を用いて,ネットワークの自律形成ダイナミクスの設計を目指す.具体的な方法としては,ネットワークの時間発展方程式を級数展開で表し,その展開係数(連続変数)をマルコフ連鎖モンテカルロ法で設計する.このとき,連続変数である展開係数をスタガート・ステップ法により変化させることにより設計の収束速度を高める.これにより,結合相互作用ネットワークの自律形成ダイナミクスを決定を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は研究初期に購入した物品・消耗品で研究計画が実行可能であるため次年度に繰越した.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度のシミュレーデータの保存のため光磁気ディスクなど利用する予定である.
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