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2016 年度 実施状況報告書

ピンホールを並べた導波路の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K05227
研究機関電気通信大学

研究代表者

森永 実  電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 准教授 (60230140)

研究期間 (年度) 2015-10-21 – 2018-03-31
キーワード導波路 / 量子Zeno効果 / 原子光学
研究実績の概要

同一形状の開口を持つ不透明マスクを多数直線上に等間隔に並べた構造物を導波路として用いる可能性を研究している。このような構造物の中での波の伝搬過程は[波の波長]×[マスク間隔]÷[開口の大きさの2乗]で表される無次元パラメータにより特徴付けられる。例えばマスク1枚当たりのパワー損失は無次元パラメータの3/2乗に比例し従って単位長さ当たりの損失は無次元パラメータの1/2乗に比例することになり、そのためマスク間隔を1/4にするごとに単位長さ当たりの損失を1/2にすることが可能であることなどが明らかになってきた。
理論面では主に摂動論を用いて波の伝搬を計算し導波路の性質を探ってきたが今年度は波の伝搬を数値的に計算し摂動計算との比較を行なった。例えば波面を両者の方法でプロットしたものを比較し、無次元パラメータを変化させたときの振る舞いを見ると無次元パラメータ→0のときに両者が十分速い速度で同一の波面に収束していっている様子が伺えた。ただし両者の差を定量的に評価すると摂動論からの予測より遅い速度でしか収束していないことも明らかとなった。不透明マスクにおいてはその開口部の境界は病的な回折を引き起こす。数値計算による波面計算ではそれによる激しい振動成分が現れ一方摂動計算にはそれが存在しないため差異が生じ収束速度を下げているものと推測されるが、次年度ではそれについての精密な分析を行ない不透明マスクによる導波路の振る舞いの完全な理解を得たい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでの研究でこのような構造物による導波の性質は概ね解明できた。特に理論面での理解は順調に進んだと考えている。一方これまでの研究では実験ではもっぱらピンホール列を用いており、他方理論面では精密な解析はスリット列を用いて行なってきたため両者の直接的比較を行なうためにはスリット列による実験を行なう必要がある。これは今年度実施する予定であったが準備が間に合わずまだ行えていない。これはピンホール列と比べたときにスリット列を製作するときの固有の技術的困難があるためだが今年度行った検討により製作の目処は立ったので次年度に実施する計画である。

今後の研究の推進方策

(A) スリット列による導波路を試作する。ピンホール列と比べた場合スリット列においてはスリットの中心位置を揃えるのみならず回転の自由度があるためスリットの向きも合わせる必要があり、それが導波路の製作ではピンホール列からスタートした理由でもある。スリット列におけるこの回転の自由度を制限する製作法を考えたのでこれを用いてスリット数100枚規模のスリット列を製作し理論的解析との比較を行う。
(B) 光学的共振器中に1枚の不透明マスク(ピンホール、スリット等)を置くと実効的に不透明マスクを多数置いた場合と等価なものを作ることができる。この方法においてはマスクを実際に多数配置する場合に生じる個々のマスクの位置の誤差の揺らぎを避けることができるというメリットがある。今までこの方法を実施しなかった理由は共振器長は必ず共振状態に保つ必要があり、そのときマスクによる前方・後方散乱も自動的に足し合わされる条件となるため導波路の性能を下げる方向に働くので本来の性能を評価できないためである。しかし個々のマスクの位置の誤差の揺らぎがない点は魅力的でありまた「理想的な曲げ」を実現できるため曲げ特性を調べるのにも好適であるので実施したい。前方・後方散乱間の干渉を避けるためリング型共振器を用いる計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] ピンホール列による光のガイドIV2016

    • 著者名/発表者名
      森永実
    • 学会等名
      日本物理学会2016年秋季大会
    • 発表場所
      金沢大学(石川県金沢市)
    • 年月日
      2016-09-13 – 2016-09-16
  • [備考] ピンホール列による光のガイド

    • URL

      http://m.ils.uec.ac.jp/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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