研究課題/領域番号 |
15K05238
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安田 正美 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 主任研究員 (50322045)
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研究分担者 |
赤松 大輔 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 主任研究員 (90549883)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 量子エレクトロニクス / 可搬型光格子時計 / 光誘起原子脱離 / 低速原子線源 |
研究実績の概要 |
本研究においては、多くの消費電力や冷却水を必要とし応答速度特性にも問題を持つために、光格子時計の小型化、ならびに、可搬化の大きな制約となっていた、従来型の加熱方式原子線源への代替が期待される、可搬型光格子時計のための光制御型低速原子線源の開発を目指している。当該年度は、本研究における原子ビーム生成(金属固体から金属蒸気状態への相変化)の主要メカニズムである光誘起原子脱離現象(LIAD)(特に、離脱原子量、ならびに、離脱速度)を詳細に観測するためのイッテルビウム原子線装置の真空系の設計、ならびに製作に着手した。本装置における原子ビーム生成方法は従来式の加熱方式によるものであり、ここから射出された原子線をパイレックスガラス、BK7、または、合成石英などの清浄な、または、有機物をコーティングした表面をもつ基板に照射することで、表面に堆積させるものである。また、この基板は回転導入端子によって任意に回転させることができ、真空を破ることなく原子の堆積、ならびに、光誘起原子離脱現象のための紫外線照射を行うことができる設計となっている。但し、当該年度においては、基板表面におけるイッテルビウム原子の堆積にまでは至っていない。なお、加熱方式原子線源からのイッテルビウム原子線の生成自体は、波長399nm(1S0-1P1)、ならびに、波長556nm(1S0-3P1)の共鳴遷移を用いたレーザー誘起蛍光(LIF)の観察によって確認されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始当初は当該年度終了時までに、各種基板の表面に原子を堆積するところまでの進展を予定していたが、イッテルビウム原子線真空装置の設計、ならびに、製作に当初想定した以上の時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
LIAD現象観察装置の完成を急ぐと共に、研究協力者との情報交換をさらに活発にすることにより、最適な基板やコーティングの種類といったパラメータの絞り込みを加速させる。また、基板表面への紫外線照射に関して、従来型のビューポートからの紫外線導入に加えて、より使いやすさを重視したファイバ光学系の導入も検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
イッテルビウム原子線真空装置の設計・製作に当初想定した以上の時間を要したために、原子を堆積すべき基板などの購入が遅れてしまったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、当所の計画通りに、パイレックス、BK7、合成石英等の基板を購入し、イッテルビウム原子を表面に堆積させ、LIAD効果の観測を行う。
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