研究課題/領域番号 |
15K05244
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
藤原 進 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (30280598)
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研究分担者 |
水口 朋子 京都工芸繊維大学, グローバルエクセレンス, 助教 (90758963)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 双頭型両親媒性分子 / 自己会合 / ナノベシクル / ナノチューブ / 分子シミュレーション / 散逸粒子動力学法 / 粗視化分子動力学法 |
研究実績の概要 |
両親媒性分子は、水中においてミセルやベシクルなどの様々な自己会合構造を自発的に形成する。昨年度は、両親媒性分子の剛直性が自己会合構造に及ぼす影響を明らかにするため、半屈曲性双頭型両親媒性分子を用いた散逸粒子動力学(DPD)シミュレーションを実行し、自己会合過程の解析を行った。双頭型両親媒性分子の分子モデルとして粗視化モデルを採用し、両側の親水基は1つの親水性粒子(A及びC)からなり、真ん中の疎水基は3つの疎水性粒子(B)からなる半屈曲性分子であるとした。また、溶媒粒子は1つの親水性粒子(S)でモデル化した。DPDシミュレーションにより得られた自己会合構造を解析した結果、屈曲性双頭型両親媒性分子の場合には現れなかった「チューブ」の形成を確認することができた。さらに、DPDシミュレーションにより得られた平衡構造の安定性を確かめるため、双頭型両親媒性分子の粗視化モデルに対する分子動力学(MD)シミュレーションを実行した。本年度は、DPDシミュレーションにより得られたチューブの安定性を解析した。MDシミュレーションで用いる双頭型両親媒性分子の粗視化モデルでは、親水性粒子(親水基A, C及び溶媒粒子S)と疎水性粒子Bの間、及び、2種類の親水基AとCの間の相互作用は斥力のみのtruncated-shifted レナード-ジョーンズ(LJ)ポテンシャル、それ以外の粒子間相互作用はLJポテンシャルで表す。まず、DPDシミュレーションにより得られたチューブを初期配置として用い、AS間の相互作用パラメータε_ASの様々な値に対してMDシミュレーションを実行した。その結果、相互作用パラメータε_ASの値が小さい場合は板状ミセルへ、大きい場合は球状ミセルへ形状変化することが分かった。また、中間の値に対してはチューブ形状を保つことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り、半屈曲性双頭型両親媒性分子を用いた散逸粒子動力学(DPD)シミュレーションを実行し、得られた平衡構造の解析も進んでいる。また、DPDシミュレーションにより得られた平衡構造を初期配置として分子動力学(MD)シミュレーションを実行し、DPDシミュレーションにより得られた平衡構造の安定性解析も進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度までの研究をさらに推し進め、半屈曲性双頭型両親媒性分子を用いた分子動力学(MD)シミュレーションを実行する。様々な粒子間相互作用パラメータの値に対して得られたベシクルやチューブなどの平衡構造に対して、粒子間相互作用パラメータの値を変化させることにより、構造変化のダイナミクスを詳細に解析する。
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