研究課題/領域番号 |
15K05256
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
瀬戸 秀紀 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (60216546)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ずり粘稠化 / 静電相互作用 / 中性子小角散乱 / 中性子スピンエコー法 / 拮抗的塩 / 非イオン性界面活性剤 / ラメラ構造 / オニオン構造 |
研究実績の概要 |
非イオン性界面活性剤に親水性の陽イオンと疎水性の陰イオンからなる「拮抗的塩」を加えると、陽イオンが水の部分に、陰イオンが界面活性剤の疎水基部分に分布することにより界面活性剤膜間に静電的な相互作用が生じる。これにより、非イオン性界面活性剤の一種であるポリオキシエチレンC12E5の10%水溶液にNaBPh4等の拮抗的塩を加えると、bicontinuous構造からラメラ構造への変化が見られる。本研究ではC12E5の無塩水溶液とC12E5に拮抗的塩を加えた水溶液のそれぞれについてずり流動を加えた場合の構造形成を比較した。それによると、どちらの場合もずり流動により多重層ラメラのオニオンが形成されることが分かったが、拮抗的塩を加えた場合の方がよりはっきりとしたオニオンが形成され、しかも強いずり粘稠化が起きることが分かった。これはずり粘稠化に界面活性剤膜の間の電気的相互作用が影響することを示唆するが、静電相互作用のようなミクロな相互作用の変化がどのようにマクロ物性に影響するか、現在中性子小角散乱の実験結果を元に検討中である。また水と3メチルピリジンに拮抗的塩を加えた場合にもずり粘稠化が起きることを見つけているが、その場合のメカニズムとの関係についても検討中である。
以上の研究に加えて我々は、イオン液体にずり流動を加えた場合の粘性の変化の研究にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
J-PARC施設の故障により、2015年度はほとんど中性子実験ができなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
J-PARCは故障からの復旧して2015年度末から定常運転に入った。2016年度は予定通り運転が行われる予定であることから、中性子散乱実験も予定通り実施できるものと考えている。またアメリカ在住の研究協力者との共同研究により、追加実験を行う目処も立っている。更に研究分担者として理論家を追加して、データを解析を進める体制も整えた。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外における実験のビームタイムが確保できなかったため、そのための旅費を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度は研究協力者を含め延べ2名の海外出張を予定している。
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