法線応力が5MPa,10MPa,15MPaの条件下で花崗岩の摩擦実験を行った.いずれの法線応力下でも累積すべり量が小さい時には断層の摩擦強度はすべり速度に正の依存性を示し,AE活動のb値は正のすべり速度依存性を示す.累積すべり量がある値に達するといずれもすべり量依存性の符号が反転した.法線応力の増加に伴いすべり速度依存性の符号が転じる累積すべり量は小さくなった. 累積すべり量とすべり速度依存性の関係を指数関数で近似すると,すべり速度依存性が定常状態に達する累積すべり量は法線応力に反比例していた.これは,摩耗により断層形状が定常状態に達するのに必要な仕事が法線応力によらず一定であることを示唆する.
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