本研究では、東北沖に新たに建設された日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を用いて、観測空白域となっていた海域下のスロースリップや地震発生過程を推定した。予備解析からは、東北沖で周期的なスロースリップが発生していることを発見したほか、アスペリティへの載荷速度の変化により、地震性すべりと非地震性すべりが切り替わる現象を明らかにした。2018年にS-netのデータが公開された後は、波形データベースを構築し、地震波速度異方性に関して、海溝と平行な速いS波の振動方向を見出したほか、繰り返し地震の抽出に成功した。また共同研究としてS-netのセンサー姿勢推定、深層学習を用いた地震検知等に取り組んだ。
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