研究課題
白亜紀中期の太平洋において、「マントルプルームがプレートを押す力」がプレート運動の駆動力としての役割を果たすことが可能か検証するために、当時の太平洋プレートのプレート境界の再配列と拡大速度の変化などのテクトニック事変を詳細に明らかにした。研究対象海域は、シャツキーライズの北方に存在する北海道トラフと西太平洋赤道付近のオントンジャワ海台の東方に存在するノバ・カントントラフ・リフトシステムである。これらの地形はいずれも白亜紀中期にできたものと考えられていた。北海道トラフおよび周辺海盆における海底地形の詳細な記載と磁気異常縞模様の同定をおこなった。その結果、太平洋プレートが白亜紀中期に分裂したこと、その分裂の痕跡が北海道トラフであることを発見した。この分裂は、シャツキーライズ形成終了後に起こったと考えられ、海台形成過程の終焉がこのプレート分裂を引き起こした可能性がある。ノバ・カントントラフ・リフトシステムの西部に位置するスチワート海盆に関して、反射法地震探査記録の解析と磁気異常縞模様の同定をおこなった。その結果、スチワート海盆は、隣接するオントンジャワ海台形成終了後に、誕生した海盆であることが判明した。また、ノバ・カントントラフ・リフトシステム中部において明瞭な磁気異常縞模様が存在しないことを確認した。これらの結果は、オントンジャワ海台を形成したマントルプルームの活動が低調になった後に、ノバ・カントントラフ・リフトシステムが形成したことを示している。本研究結果は、マントルプルーム活動の変動が、プレート境界の再配列に何らかの影響を与えていることを示唆している。すなわち、白亜紀中期の太平洋において「マントルプルームがプレートを押す力」がプレート運動の駆動力としての役割を果たした可能性があると考えられる。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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