研究課題
本研究は、西太平洋域における海底電磁気観測データの蓄積を活かした電気伝導度構造イメージングに基づき、この海域下のマントル遷移層内水分布を高分解能かつ定量的に推定することを目指して、それに必要なデータ解析技術を革新的に発展させることを目的としている。平成30年度は、電気伝導度構造を推定するためのインバージョン手法に、入力する外部磁場変動について複雑な空間分布に対応させる点と西太平洋域の海底で観測された磁場データから複数のソース変動を分離する点についてそれぞれ以下の進展を得た。前者について、磁気圏・電離圏物理学分野で研究されているGAIAモデルにより計算される地磁気静穏日変化(Sq)を用い、表層の海陸境界と1次元成層構造を組み込んだ電気伝導度構造による電磁誘導の効果を計算して、実際に地磁気観測点で測定された磁場値との比較を行った。またインバージョンのでは、このテストモデルを用いて感度計算を行い、深さ200~400kmに最も感度が高いことが分かった。後者について、独立成分分析を応用した予備的な解析を実施した。推定するソース信号の数や各信号の時間変動の特長のほか、パワースペクトルや、混合係数の緯度・経度との相関を詳細に検討した結果、観測された静穏時日変化を定性的にはよく復元するソース信号を推定することに成功した。これらの成果は、8月にデンマークで開催された24th Electromagnetic Induction Workshopおよび日本地球惑星科学連合2018年大会、第144回地球電磁気・地球惑星圏学会講演会にて発表した。また学術誌への投稿準備を進めている。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件)
JAMSTEC Report of Research and Development
巻: 26 ページ: 54~64
10.5918/jamstecr.26.54