研究課題
地球内部の水の分布と循環は、地球のダイナミクスを規制する重要な要因である。沈み込むプレートにおいて水は含水鉱物として蛇紋岩の中に存在するとされるが、その実態はまだよくわかっていない。本研究では、沈み込む前の海洋プレートにおいて、リソスフェリックマントルがどの深度まで、どのような広がりを持って、どの程度蛇紋岩化しているかを観測し、地球内部の水の分布状況と循環についての理解を深めることを目的とする。特に、水の入り口として重要な海洋トランスフォーム断層(OTF)及び断裂帯において、研究船を用いた地球物理・化学観測を行い、蛇紋岩化の実態を把握する。29年度は、28年度に引き続き27年度末に実施したインド洋中央海嶺における観測結果の解析を実施し、学会発表を行った。1.インド洋中央海嶺を横切る4つのトランスフォーム断層(全長200km以上になるマリーセレストOTFを含む)の地形・重力解析の結果を合わせ,過去のプレート運動方向の復元を含めたテクトニクスを検討した.また,マリーセレストOTFで検出得された低密度異常について蛇紋岩化の影響の有無を他地域と比較して考察した.2.連携研究者の実施した断層を横切る方向の磁気観測からは,明瞭な磁化の異常は検出されず,少なくとも観測測線の位置する断層西部では大規模な変質は認められないことがわかった.3.採取した岩石の顕微鏡観察および全岩組成分析(特に変質度の指標となる微量元素および含水率測定)を行なった.OTFに沿った海洋性地殻深部を構成する斑れい岩は,総じて高い変質度であった。一方、中央海嶺玄武岩は噴出年代に伴った系統的な変質度の増加とそれに伴う組成変化が,定量的に明らかになった.4.採水試料中のメタンの濃度および安定同位体組成をより高感度かつ簡便に分析できる手法を確立するための実験を進めた。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
Nature Communications
巻: 8 ページ: -
10.1038/ncomms14302
Science Report
巻: 7 ページ: -
10.1038/s41598-017-15959-5
Royal Society Open Science
巻: 4 ページ: -
0.1098/rsos.171570