研究課題/領域番号 |
15K05266
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中本 泰史 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60261757)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コンドリュール / 隕石 / 惑星形成 |
研究実績の概要 |
隕石の主要構成要素であるコンドリュールの形成は,太陽系形成過程の重要な一段階であることは広く認識されている。本研究では,原始太陽系星雲中を高速運動する微惑星が生起する弧状衝撃波によってコンドリュールが形成され得るかどうかを,数値シミュレーションによって明らかにすることを目指している。特に本研究では,コンドリュール周囲のシリケイト蒸気圧に注目する。これが十分高くないとコンドリュールから揮発性物質が失われてしまうという問題が指摘されているからである。高いシリケイト蒸気圧を実現し得る状況として本研究では,固体微粒子(ダスト)濃度が高い領域に微惑星が突入する場合を想定する。そして,ダスト濃度が高い媒質も扱える数値シミュレーションコードを新たに開発し,シミュレーションを実施することにより,観察されるようなコンドリュールが形成され得るかどうかを明らかにすることを目指している。 上記のようなシミュレーションを実施するためにコード開発の上で必要な点は,次の効果を取り扱えるようにすることである:(1) ダストの密度が高い場合の力学的および熱力学的効果,(2) ダストの密度が高い場合の輻射エネルギー輸送効果。H27年度は主にコード開発に取り組んだが,ほぼ当初計画通り,上記2点の開発が進んだ。(1)に関しては,ダストの力学的反作用と,蒸発・再凝縮などを扱えるようにした。(2)に関しては,流束制限拡散近似法を実装し,輻射エネルギー輸送を計算できるようにした。年度末時点で個々の技術的問題はほぼ解決している。あとは,各要素を組み合わせて総合的なコードを組み上げ,最終的なテストを行ってコードを完成させること,および,各種微調整をすることで,実際のシミュレーションを実施することができるようになる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では,H27年度は数値シミュレーションコード開発に主に取り組む予定であった。その作業は概ね,当初予定通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,シミュレーション用コードの開発を進め,完成させる。次に,そのコードを用いて数値シミュレーションを実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では,H27年度は数値シミュレーションコード開発とシミュレーションの実施を目的に,シミュレーション用計算機を導入する予定であった。しかし,コード開発の段階ではまだ本格的な計算機は必要ではなく,既存の小型パソコンで作業が可能であったため,シミュレーション用計算機の導入は見送ることとした。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度にはコード開発が完了し,本格的なシミュレーションを実施する予定である。よってこの段階で,シミュレーション用計算機を導入したい。
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