研究課題/領域番号 |
15K05267
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋本 学 京都大学, 防災研究所, 教授 (20293962)
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研究分担者 |
小澤 拓 国立研究開発法人防災科学技術研究所, その他部局等, 主任研究員 (70455252)
西村 卓也 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90370808)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 六甲変動 / GPS / SAR / 兵庫県南部地震 / 地殻変動 / 余効変動 |
研究実績の概要 |
六甲山はその麓を走る六甲断層帯の運動により形成されたと考えられている.しかし,現在の六甲山の地形と1995年兵庫県南部地震による上下変動のパターンは相関しないので,兵庫県南部地震タイプの地震だけでは六甲山は形作れない.余効変動の寄与を検討するため,兵庫県南部地震以降に実施された測地観測データを再解析するとともに,六甲山系の三角点のGPS観測を実施した. 地震直後に国土地理院により緊急改測が実施された六甲山系の三角点から3点(六甲山,不動山,甲山)を選び,2015~2017年の毎年11月にGNSS観測を実施した.緊急観測の原データが保管されていたので,これを再解析軌道・時計の情報を用いて解析を行った.2015~2017年のデータも同じ解析を行うことにより,同じ座標系での比較を行った.また,1996年夏までに実施された国土地理院の緊急GPS連続観測データも,同じ手法で解析した.さらに,変動の面的な分布を得るために,合成開口レーダーのデータも収集・解析した. 三角点での観測の結果,約20年間に3三角点は東南東に向かって約40cm移動するとともに,いずれも0~4 cm沈降していることが判明した.誤差を考慮しても隆起が生じたとは言い難い.緊急GPS連続観測では,六甲山系東部の観測点に1995年3月末までに1 cm程度の隆起が見られたが,その後1996年8月までは大きな変化はなかった. 1997年までのJERS-1画像の干渉処理の結果,六甲山系の山頂部では,約10 mm/yrの視線距離短縮が検出された.GPS観測結果を考慮すると,JERS-1の視線距離短縮は,水平変動の寄与が大きいと考えられる.その後は顕著な変動は認められない. 以上より,兵庫県南部地震の余効変動は1995年前半に終息し,その後六甲山系を隆起させるような変動はなかった,すなわち地形形成に寄与しなかったと結論できる.
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