地球のような岩石と鉄から成る惑星(地球型惑星)は、微惑星と呼ばれる小さな天体が衝突合体による成長を繰り返すことにより形成されたと考えられている。現在の太陽系では小惑星と呼ばれる小さな天体が主として火星と木星の軌道の間に存在する。隕石の大部分は小惑星の破片が地球に到達し回収されたものである。コンドライト隕石と呼ばれる隕石は、あまり成長しなかった微惑星の破片と考えられている。コンドライト隕石のうち熱や水の影響をあまり受けていないものは、主としてコンドルールと呼ばれるミリメートルサイズの岩石により構成される。ミリメートルサイズの岩石が物質間力で付着して集まることはないので、他の原因で集まることにより微惑星が形成されたと考えられる。 太陽のような星が生まれるときには、周囲にガスと固体微粒子から成る円盤が存在することが観測により明らかにされてきた。本研究で注目したのはガスと固体微粒子の間の摩擦力によっておこるストリーミング不安定性という固体微粒子を濃集するプロセスである。本研究では、平成30年度までに、ストリーミング不安定性で固体微粒子を濃集する条件が2つのパラメータで与えられることを明らかにした。平成31年度には固体微粒子があらかじめ濃集していたときに、さらに濃集が進むのかどうかを数値シミュレーションにより調べた。 令和2年度(最終年度)には、前年度行った数値シミュレーションの結果を解析した。その結果、あらかじめ濃集していた固体微粒子がさらに濃集するための条件が、ストリーミング不安定性が成長する条件と同じ2つのパラメータで表されることがわかった。ただし、この結果は、原始惑星系円盤内での固体微粒子の濃集のさせ方や数値シミュレーションを行う領域のサイズに依存する可能性があるので、さらなる検証が必要である。
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