研究課題
地球外核のダイナモ作用に起因する数年スケールから数億年スケールに渡る広帯域地磁気永年変化のメカニズムを明らかにするため、数値ダイナモシミュレーションを用いて基礎となるデータの取得を行った。短周期変動に関しては、コア-マントル境界(CMB)下に外核の10%程度の厚さを持つ安定成層を与えることによって有意に減衰することが確認された。この結果は地震学的な観測から推定される厚さの安定成層が存在することを再考する必要性があることを示唆する。一方で、地球磁場観測から推定される程度の厚さ(~170 km)の安定成層を与えた場合、短周期成分に有意な減衰は見られなかった。以上の結果より、CMB下の安定成層については、地震学的に考えられているものよりも薄いほうが地球磁場の観測結果と整合的な結果を与えることが分かった。長周期変動については数百万年間程度の計算を数例行い、双極子磁場の逆転頻度を古地磁気永年変化モデルを用いて解析した。予察的な解析の結果、数値モデルと古地磁気学的データにおいて、モデルパラメータ同士に似通った変化のトレンドは見られるが、絶対値としては大きな差があることが確認できた。こうした違いは古地磁気学的データと数値モデル間のデータ密度の差か、数値シミュレーションに用いたパラメータによるものであるのか、あるいは古地磁気永年変化モデル自身の問題であるのかについて、今後、より詳細な解析を行うことで明らかにしていく必要がある。
2: おおむね順調に進展している
短周期変動及び長周期変動の双方について、シミュレーションデータを順調に蓄積できているため。データ解析の手法をより効率化することで解析のスピードアップを図りたい。
安定成層の起源についてダイナモの視点から議論するために、シミュレーション結果のまとめを行う。また、地磁気の逆転頻度と古地磁気永年変化モデルの間の関係をコアのダイナミクスに基づいて議論できるように解析を進める。その際、データの解析方法を工夫することで、作業の効率化を図る。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
Geochemistry, Geophysics, Geosystems
巻: 17 ページ: 1586-1607
10.1002/2015GC006159