研究課題/領域番号 |
15K05273
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
和田 浩二 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 主席研究員 (10396856)
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研究分担者 |
荒川 政彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10222738)
木村 宏 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 研究員 (10400011)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 天体衝突 / イジェクタ / イジェクタカーテン / 固体惑星探査 / 光散乱 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、まずイジェクタカーテンの光散乱の数値計算を進め、とくにイジェクタ粒子がアグリゲイトである場合を考慮して計算を進めた。構成粒子をアグリゲイトとすることで、イジェクタカーテンの輝度に影響があると考えられている。本研究ではT-マトリックス法によるアグリゲイトの光散乱計算コードを改良することで、計算速度の高速化が進み、大きなアグリゲイトの光散乱特性を計算することに成功した。これを用いて輻射輸送計算することで、イジェクタカーテン輝度の計算に従来のHenyey-Greenstein散乱関数を用いると桁で過小評価することが示唆される結果となった。 また、実際のクレータ形成実験をおこない、イジェクタカーテンの構造に大きな影響を及ぼすイジェクタ放出速度分布のスケール則をまとめた。具体的には、模擬レゴリスである珪砂粒子層や、多孔質レゴリス層を模擬した空隙率50-70%のシリカ微粒子層、それから引っ張り強度1kPaまでの弱い基盤を模擬した珪砂-多孔質石膏混合層へのクレーター形成実験を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究はほぼ計画通りに進行しつつあるが、成果論文を執筆中である。これを完成させるためには実際の宇宙衝突実験のデータ(具体的にはDeepImpactミッションにおける衝突)と比較する必要があり、またより精緻なモデル化のためにイジェクタ放出とその輝度観測に関して追加実験が必要と考える。そのため、やや遅れていると判断し、研究期間も1年延長した。
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今後の研究の推進方策 |
アグリゲイトの散乱位相関数を考慮し、アグリゲイトを構成粒子とするイジェクタカーテンの光散乱計算に関する論文を完成させる。そのためにDeepImpactミッションの成果を精査し、そのイジェクタカーテンの輝度データと比較する。また室内衝突実験を行いそのイジェクタ放出過程とイジェクタカーテン輝度を整理し、計算結果との比較を行いイジェクタカーテンの光散乱モデルを精緻化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度での研究打ち合わせのための出張や学会発表などが研究代表者・分担者の多忙により当初予定していた回数より少なく、また必要な計算・実験をやはり多忙により行うことができなかったこともあって次年度使用額が生じた。 平成30年度では、論文を完成させてより妥当・有用なものにするために,さらに共同研究者間で密に議論しながら計算を進め,学会等で発表し議論を行う必要がある。また追加実験を行って構築するモデルをより精緻なものにする必要がある。以上の理由により次年度に使用することとした。
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