口永良部島火山が2015年5月に噴火したため,予定していた現地地質調査を中止した.そのため,メルト包有物分析には,産業技術総合研究所に保管してあった試料を用いた. 桜島1914-15年噴火噴出物,阿蘇中岳1979年および1989年噴火噴出物,口永良部島1966年および0.2ka噴火噴出物を粉砕し,メルト包有物を含む斑晶を取り出した.斑晶を樹脂にマウントし,切断・研磨を行い,電子線マイクロアナライザー(EPMA)・二次イオン質量分析計(SIMS)兼用のメルト包有物分析用試料を作成した.金蒸着を行った後,EPMAおよびSIMS分析を実施した. 阿蘇中岳について,1979年噴火メルト包有物7個と1989年噴火メルト包有物6個のEPMAおよびSIMS分析を実施した.その結果,主成分元素組成は安山岩(SiO2濃度57-62wt%)であること,H2O濃度が0.3-1.3wt%,CO2濃度が0.01-0.05wt%であることが明らかとなった.桜島1914-15年噴火については,メルト包有物13個のEPMAおよびSIMS分析を実施した.その結果,主成分元素組成はデイサイト〜流紋岩であること(SiO2濃度68-72wt%),H2O濃度が2-3wt%,CO2濃度が0.01-0.04wt%であることが明らかとなった.口永良部島1966年噴火噴出物の岩石学的解析とメルト包有物8個のEPMA分析を行い,主成分元素組成がデイサイト〜流紋岩であること(SiO2濃度69-75wt%)を明らかにした.
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