研究課題/領域番号 |
15K05274
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
斎藤 元治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (20357057)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マグマ / ガス成分 / 噴火開始 / メルト包有物 |
研究実績の概要 |
本研究では、マグマ溜まりからマグマが上昇を開始するメカニズムを解明し、火道内でのマグマの脱ガス圧力を推定するため、国内の活動的火山についてメルト包有物分析を行い、マグマのガス成分濃度を決定する。 具体的には、北海道から九州までの活動的火山15個を研究対象とし、5年計画で実施している。必要に応じて現地地質調査による試料採取と岩石試料について蛍光X線分析(XRF)による全岩化学組成を行った後、メルト包有物を電子線マイクロアナライザー(EPMA)および二次イオン質量分析計(SIMS)を用いて分析し、マグマのガス成分濃度(H2O、CO2、S、Cl)を決定する。 平成30年度までに、桜島1914-15年噴火、阿蘇火山中岳1979年、1989年および2014年噴火、西之島火山噴火、伊豆大島火山1777年噴火、口永良部島火山1966年および0.2ka噴火、吾妻山0.6ka噴火の、6火山9噴火のメルト包有物の二次イオン質量分析計(SIMS)測定と電子線マイクロアナライザー(EPMA)測定を実施した。 令和元年度は、伊豆大島火山1777年噴火、口永良部島火山1966年および0.2ka噴火、吾妻山0.6ka噴火のマグマ揮発性成分濃度を元に各マグマの圧力を算出した。その結果、伊豆大島火山1777年噴火は80-90MPa(分析数2個)、口永良部島火山の0.2ka噴火は90MPa(分析数1個)、1966年噴火は20-30MPa(分析数3個)、吾妻山0.6ka噴火は20MPa(分析数2個)、のマグマ圧力値を得た。 さらに、九重火山5.4kaおよび1.7ka噴火、富士火山1707年噴火、岩手山1686年噴火、浅間山1783年噴火噴出物のメルト包有物分析を行うため、岩石試料の調製(粉砕・ふるい分け・斑晶のハンドピック)を行った。これらの分析は令和2年度に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究開始当初、活動的火山15個の噴火のメルト包有物分析を目標としていたが、令和元年度に研究担当者(齋藤)が本部組織(研究関連部門)に主務として異動し研究業務に割く時間が限られたことによって、これまで6火山9噴火のメルト包有物測定とマグマ圧力算出にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、当初の本事業の最終年度であった令和元年度に、研究担当者(齋藤)が本部組織(研究関連部門)に主務として異動していたため、本研究業務の実施時間が限られた。このため、本科研費研究の最終年度の1年延長を申請し、承認された。 令和2年度は、試料調製を終えている、九重火山5.4kaおよび1.7ka噴火、富士火山1707年噴火、岩手山1686年噴火、浅間山1783年噴火についてSIMSおよび EPMA測定を実施し、マグマ揮発性成分濃度を決定するとともに、その結果からマグマ圧力を算出する。また、試料を入手済みである、樽前火山1739年噴火についても、メルト包有物の試料調製と化学分析を実施し、マグマ圧力を算出する。 上記の目標が達成されると、11火山15噴火のマグマの揮発成分に関する情報が整備される事になる。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度に、研究担当者(齋藤)が本部組織(研究関連部門)に主務として異動していたため、本研究業務に割く時間が限られ、当該科研費研究の進捗に支障をきたしたため。
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