研究課題/領域番号 |
15K05278
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
富士原 敏也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地震津波海域観測研究開発センター, 主任技術研究員 (30359129)
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研究分担者 |
木戸 ゆかり 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球深部探査センター, 技術主任 (20359194)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地磁気異常 / 磁化構造 / 太平洋プレート / 日本海溝 / ホルスト-グラーベン / プレート沈み込み |
研究実績の概要 |
研究代表者・分担者らにより行われた先行研究より精度の高い磁化構造を求めるために、近年にJAMSTECの研究航海によって取得されたデータ、日本海洋データセンター(JODC)のデータなど、地磁気観測データを増やした。この結果、プレート沈み込みに伴う地磁気異常の地域的変化の特徴をより明らかにした。磁化層上面までの距離を与える海底地形データ、屈折法地震波速度構造および反射法地震記録から求めた地殻構造データも増やした。これらの更新されたデータを用いて、日本海溝海側の太平洋プレートの磁化構造を求め、その構造の地域的変化を調べた。その結果、海溝近くの海側斜面、正断層で切られたホルスト-グラーベン(地塁-地溝)域から磁化強度が下がり、プレート沈み込みに伴って磁化強度が下がることが確認されたが、結果の解釈と定量的な議論は、今後の課題として残る。海洋プレートが沈み込む際に磁化構造がどのように変化していくのかを調べるためのプレートが沈み込む前の磁化構造、その地域性に関する議論については、更なる観測データの量の増大と質の向上が必要であることがわかった。中間的な研究成果を、2件の国内学会(国際セッション)・シンポジウムで発表した。 また、磁化層の一つである海洋地殻に関する参考情報とするために、日本海溝海側の海底で採取された玄武岩試料の段階熱消磁岩石磁気測定、化学組成分析、弾性波速度・比抵抗・密度の物性測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地磁気観測データのノイズ評価・除去の検討についての仕事は、まだ更に必要と思われる。磁化構造の計算の際に必要となる精度のよい地殻構造モデルの構築についても同様である。高品質な観測データセットの編集・構築は、研究資料として利用価値が高く、広く一般に貢献すると思われるので、努力して進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗の成果は、関連研究で特集が組まれる論文に投稿を予定している。今後の方策としては、本研究期間中に可能な限りデータ量と質を向上させて作成した地磁気異常と磁化層構造データを用い、磁化構造の解析を行う。得られた結果は、日本海溝海側斜面で同磁極に沿った磁化強度変化、海溝軸からの距離に応じた磁化強度変化、プレート沈み込み帯での磁化強度変化、に着目して議論する。得られた磁化構造を他の地球物理学的・地質学的観測データ、構造モデルと比較し、海洋プレートの蛇紋岩化、断層分布・構造など統合した解釈を行う。東北日本の地質現象や地震活動との関連性を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況を考慮して、年度当初に計画していた海外での学会発表のための出張を見送った。そのため、旅費として予定していた額が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画からの研究発表の人数・機会をより増やす用途にあてたい。
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