北太平洋深層を東西の海盆に分ける天皇海山列の中で最大・最深の切れ目であるメインギャップ(39N~40N)において、船から吊り下げるADCPや係留流速計を用いて底層流を直接計測した。その結果、メインギャップ北部で弱く、南部で東向き毎秒20cm以上の強い底層流の水平分布がスナップショットで得られた。係留系の時系列データによると北部でも1年平均は東向きであり、底層水はメインギャップ全域で西から東に流れていた。海水特性からするとこの底層水は南大洋由来の下部周極水そのものではなく、北西太平洋海盆で変質した下部周極水の名残がメインギャップを通じて北東太平洋海盆に流出するという新たな深層循環像が得られた。
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