研究課題
前年末の2017年3月から、沖縄瀬底島にある琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設に名古屋大学のKa帯雲レーダーを設置し観測を実施した。この際のレーダーの基本的な観測モードは前年と同じものを使用した。また、前年度と同様に、国立研究開発法人情報通信研究機構沖縄電磁波技術センターを拠点として5月から6月にかけて実施された観測に参加し、CPSゾンデ、雲粒子ゾンデを用いた気球観測を行い、雲レーダーとの同期観測データを取得した。これまでの雲レーダーでの観測データから、雲・降水の減衰の影響が少ない台風外縁部の上部吹き出し層における偏波パラメータについて解析し、その特徴を調べた。調べた層は、層状域であり、一般的に固体の粒子(氷晶)が卓越する温度帯である。本研究とは別の研究において、雲粒子ゾンデ観測で過冷却水滴が観測されたことがあるが、極めて数濃度が小さいものであったため基本的には氷晶粒子の特徴として調べた。過冷却の雲粒が存在しうるレーダー反射強度Zの小さい部分に着目すると、Zが小さい部分では平均的にレーダー反射因子差ZDRや、偏波間位相差変化率KDPが大きくなる傾向にあった。これは、液相粒子の特徴と異なっており、過冷却水滴のみで存在する領域と氷晶が存在する部分は区別できる可能性がある。一方で、過冷却水滴は氷晶と混在して混相状態で存在することが多いため、この領域の特定には新たな観測によるデータの蓄積が必要である。また、Ka帯の雲レーダーで観測できない雲についても粒子ゾンデ観測を実施し、Ka帯レーダーの観測能力についての検討も行い、一定程度大きな粒子が存在しないと観測できないことがわかった。
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土木学会論文集B1(水工学)
巻: 74 ページ: 55-60
https://doi.org/10.2208/jscejhe.74.55