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2016 年度 実施状況報告書

マルチコプターを用いた沿岸域海色リモートセンシング技術の開発と実用化

研究課題

研究課題/領域番号 15K05290
研究機関東海大学

研究代表者

大石 友彦  東海大学, 清水教養教育センター, 教授 (20231730)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード海色リモートセンシング / 沿岸 / 多波長イメージ分光放射計 / マルチコプター
研究実績の概要

リモートセンシング技術を持ちいて対象海域全体をカバーするには、飛行体と放射計を正確に同期・制御する必要がある。これを行うには、高額は放射計と実機での観測が前提となる。マルチ・コプターによる観測はランニングコストとフットワーク良さに魅力があるが、積載重量と正確な飛行制御に大きな制約があり、実用化された前例はない。この問題を解決するため、沿岸域において海色観測を行うのを念頭に置いた、小型、軽量の多波長分光放射計を製作した。製作した分光放射計は対象物体から放射される輝度を可視域および近赤外域において、12波長の単色イメージとして同時に測定できる特徴を有している(16波長まで拡張可能)。駿河湾の三保半島沖で、製作した放射計を用い試験観測を行った。観測結果の一部は論文として日本リモートセンシング学会誌に発表した。製作したプロトタイプ放射計は輝度分解能は12ビットである。沿岸域での海色は狭い空間内で微妙に変化するため、より詳細な情報を入手する必要があると判断し、放射計の改良を行った。改良した多波長イメージ分光放射計の放射輝度分解能は14ビット、そして空間分解能を6倍に向上させた。改良型イメージ分光放射計を用いて固定点からの沿岸域における海色を早朝から日没まて10分間隔で時系列観測を2度に渡り行った。この観測結果は、2017年5月に、名古屋大学で開催されるリモートセンシングに関する国際学会で発表する予定である。
また、沿岸域での海色データから情報抽出する解析アルゴリズム開発に重要な単位クロロフィル濃度当たりの多波長光散乱関数を5種類の植物プランクトンにおいて測定し、アメリカ光学会誌に論文を投稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の中心課題である小型軽量の多波長イメージ分光放射計の開発がほぼ終了し、実用の一歩手前の段階にあると考えている。また、沿岸域の海色データから情報抽出を行うため、最も重要と考えられている、光後方散乱係数を高精度で測定する方法を、世界に先駆け開発し、国際学会誌に発表した。この結果は、既にアメリカ、ヨーロッパで検証研究が始まっている。

今後の研究の推進方策

多波長イメージ分光放射計を用いて、沿岸域における海色を定点およびマルチコプターからの観測を行なう。また、観測された海色データから情報抽出を行う解析アルゴリズムの開発を行う予定である。また、開発した放射計の有効性について論文発表を通し、外部に情報発信を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画していた多波長イメージ分光放射計の設計を再検討し、標準的な光学部品を採用する事によって、低価格のイメージ分光放射計を製作することに成功したため、予算の執行金額を大幅に縮小する事を達成できたため。

次年度使用額の使用計画

本研究の中心課題である放射計製作の低価格化の結果、前年度に予算を全額執行する必要がなくなったため、本年度の予算と合わせ、海色データ解析アルゴリズム開発に必要な光散乱計の開発に予算を重点的に配分する予定である。これによって、当初の計画よりさらに進んだ研究を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Chlorophyll-a specific volume scattering function of phytoplankton2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Tan,Tomohiko Oishi,Akihiko Tanaka,Roland Doerffer,Yasuhiro Tan
    • 雑誌名

      Optics Express

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 多波長イメージ分光放射計を用いた沿岸域海色リモートセンシングの試験研究2016

    • 著者名/発表者名
      杉山領、大石友彦、田中昭彦、丹佑之
    • 雑誌名

      The Remote Sensing Society of Japan

      巻: 36 ページ: 93-99

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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