研究課題
これまでに作成したデータ同化システムについて、詳細な性能評価を進めてきた結果を反映して、最終段階となるデータ同化モジュールのアップデートを適用した。最終版のデータ同化モジュールをGEOS-Chem、CHASER、MIROC-Chemという3つの異なる化学輸送モデルに適用してデータ同化システムを構築し、それを用いた対流圏大気物質の再解析計算を実施した。再解析計算の結果は、衛星・航空機・ゾンデ・地上観測などの各種独立観測データと比較し、各システムの性能を詳しく検証しデータ同化解析におけるモデル性能の重要性を調査した。その結果、特に上部対流圏・下部成層圏のオゾンについては再現性のモデル間の差異が大きいが、衛星によるプロファイル観測情報を同化することでモデル性能に依存しない解析場を整合的に作成可能であることが明らかとなった。一酸化炭素についても、排出量をデータ同化で修正することでモデルに依存せずに、観測とよく一致しシステム間で整合する解析場を作成可能であった。一方、対流圏化学で中心的な役割を果たすOHラジカルについては、モデル間での差異が大きく、複数化学種のデータ同化後においても違いが多く残った。OHラジカルは各種物質の大気中での寿命に作用するため、推定される物質の排出量はOHラジカルの違いに応じて大きなものとなった。システムに依存しない排出量情報を提供する上で、OHラジカルの整合的な解析が重要であり、今後のシステム開発に対する重要な示唆を得た。また、3つの異なるモデルを用いて観測システムシミュレーション実験(OSSE)を実施する枠組みを考察し、衛星観測およびOSSE実施の中心機関であるNASAおよびESAとの連携を強化することができた。日本国内における今後の衛星計画の推進に役立てるべく、JAXAとの情報交換も進めた。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 10件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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https://ebcrpa.jamstec.go.jp/~miyazaki/tcr/