研究課題/領域番号 |
15K05299
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
谷田貝 亜紀代 総合地球環境学研究所, 研究部, 客員准教授 (60353447)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 太陽活動 / 極端紫外線 / 熱圏風 / 太陽フレア |
研究実績の概要 |
太陽活動の極端紫外線(EUV)、X線の超高層大気、中性風循環場への影響を、短期的な増光現象であるフレアイベントに注目して調べる。熱圏(高度200km~300km)は、EUVの吸収が主な加熱源であり、巨大フレア発生時には、昼側の中性大気密度の一時的な上昇がみられることが報告されている。フレアに対する応答は夜側にも伝わることが予想されるため、より長期データの得られるファブリ・ペロー干渉計による夜間風速変動の解析を通じて、全球スケールで発生する中性大気の力学的応答を調査する。 初年度は,日本が観測を展開している5か所のデータによる解析,太陽直下点からの距離の解析,米国のCEDAR データベース処理を予定した.このうち1点目について,計画以上に曇天時のスクリーニングなど品質管理を丁寧に実施し,測器交換によるバイアスも共著者と共にしっかり検討をした.つまりフレア応答時間を,より定量的に考察するには,平均場である気候値を示し,偏差を議論する必要がある.そこで,アジア・オセアニア地域4か所に設置したFPIによる,高度約250kmの夜間熱圏水平風の気候値的な時間変化の提示を行い,観測値として初めて,季節平均した,1時間平均の夜間熱圏風のアジア・オセアニア地域の描像を示した.これら気候場図と,各地点平均時系列データは,熱圏風の擾乱などケーススタディーにおける背景データとして用いられる.この内容について,研究協力者と頻繁に打ち合わせし,論文にまとめることができた.査読意見はminor changeで,現在修正原稿の再査読中である. 2点目の太陽直下点からの距離の計算も修了している.3点目は,一部のデータのダウンロードは行ったが解析はすすんでいない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この研究をはじめた当時の職場(名古屋大学)の関係者のハラスメントにより精神的ダメージを受けた.職場をかわった後もトラウマが引き起こされることがあった.平成27年度7月から東京大学大気海洋研究所の特任研究員として(約半分のエフォートで)雇用していただく際に,医師から,慣れるまでやることを減らすよう助言があり,7月からの上司にも相談,トラウマに関係する当該基盤C研究を,7月から中断することにした(5月にJSPSにも相談,1年未満の中断は報告の必要なしとのこと).1月に平成28年度の弘前大学への赴任確定後,今後海外打ち合わせの日程調整が難しくなることが予想されたため,当該課題を再開し3月に出張打ち合わせも行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年4月から弘前大学に異動し,学期中は講義があるため,予定した米国で6月に開催される研究集会への参加は極めて難しくなった.(このこともあり,平成27年度3月に,シアトル・アラスカを訪問し海外の関連研究者との意見交換をすすめた.)しかし,国内研究協力者との打ち合わせと,論文執筆に力を入れて着実に進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究がトラウマを引き起こす可能性があり,また7月から東大での被雇用にあたり,やることを減らすために,医師から開始を遅らせることをすすめられた.このため7月から半年ほど実施を中断した.このため,予定したほどには今年度研究はすすまず,次年度に使用することになった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度4月から弘前大学に異動し,研究協力者との打ち合わせ旅費もかさむようになった.また,6月の海外出張は出来ないが,飛行機代が若干高くなる12月AGUや3月,9月に出張することも考えられる.また遅れた分,英文校閲を短期間で行えるよう割高なサービスを頼むことも考えたい.また,異動先にはまだコンピューター環境が整っていないため,予定したよりも高度なスペックなパソコンや計算機の購入にあてたい.
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