地球の高緯度電離圏に存在する大規模なプラズマの流れの中には,局所的に狭いチャネルとなって高速の流れが生じている領域,プラズマフローチャネルが数多く存在している.本研究では,まず,複数の観測装置からの貴重な同時観測のデータをもとに,フローチャネルの時間変動と空間構造に関する性質を明らかにした.次いで,シミュレーションを通して,フローチャネル領域にしばしば見られる中性大気質量密度異常の現象について,速いイオンの流れに伴うジュール加熱の上昇よりむしろ,速い流れの領域に磁気圏から降下している 100 eV 程度の低いエネルギーの電子による加熱過程が重要な役割を果たしていることを明らかにした.
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