研究課題
ロケット実験で得られた大気プラズマ結合過程の新たな発見は高度100km付近における100m/s程度の大気の流れである.この高速風は90kmから130kmの領域に存在し高度100km付近に存在するダイナモ領域を含んでいる.さらに,この高速風に小さなスケールの風速変動が混在していた.高度100km付近に存在している大気重力波を直接観測したものと考えている.これらの発見と知見を惑星大気に拡張した.その一例として土星の大気プラズマ結合について研究を進め成果をICARUSで発表した.土星にはリングが存在し数μm以下のダストも広く分布している.このダストの供給源であるエンケラドスを取り込んだモデルを構築した.エンケラドスから放出された水を起源とするダストは周囲の大気プラズマと相互作用し土星内部磁気圏プラズマの運動に大きな影響を与えている可能性を指摘した.カッシーニ探査機による内部磁気圏プラズマデータと比較検討し大気・プラズマ・ダスト間の相互作用が内部磁気圏プラズマの構造と運動に大きく寄与していることを発見した.金星大気とプラズマの結合過程についても研究を実施した.金星探査機「あかつき」は電離圏下部の大気運動を測定している.ハワイ島にあるNASA/IRTF望遠鏡を用いて「あかつき」と同時観測を実施した.両者のデータから金星電離圏下部の全球大気運動を求めることができる.これを下部境界条件としたモデルで大気プラズマシミュレーションと観測の比較検討を行った.ロケット実験や惑星大気プラズマモデリングによる大気プラズマ研究の成果は国内外の学会や研究会で13回報告した.
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通りに研究が進行している.研究成果を国内外で報告するだけでなく国際誌に掲載し評価を得ている.これらの研究成果に対し招待講演も依頼された.
来年度が最終年度であることから,今までの研究成果をまとめ国内外の学会や研究会で報告するとともに,国際誌にも投稿する.
旅費節約により生じた残額.
旅費の一部として使用する.
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Earth, Planets and Space
巻: 6 ページ: 68-75
10.1186/s40623-016-0457-6
Icarus
巻: 10 ページ: 1016-1027
10.1016/j.icarus.2016.06.011
巻: 10 ページ: 1-11
10.1016